伝松尾芭蕉 各務支考
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芭蕉
【原文】
花みなかれてあはれをこほすくさのたね 桃青
『菜集』貞享2年(1685)42歳
【釈文】
花皆枯れてあはれをこぼす草の種 桃青
【訳文】
花は皆枯れてしまい、今はただ哀れさを漂わせる草の種を残すだけだ 桃青
支考
【原文】
庭前ノ即興にて
蓮二
木つゝきや
衣裳にも似す
棚さらし
これらハ戯ノ句なから発句
とて書奉可申ほとにや
此よりすへて発句ハなき事に候
【釈文】
庭前の即興にて
蓮二
木つゝきや
衣裳にも似ず
棚ざらし
これらは戯の句ながら、発句
とて書き奉り申すべきほどにや、
此よりすべて発句はなき事に候ふ。
【訳文】
庭先を見て即興で詠む
蓮二
木つゝきや衣裳にも似ず棚ざらし
(啄木鳥は派手な模様をしているが誰にも注意されることなく手持ち無沙汰にしているよ)
これは戯れに詠んだ句ですが、
発句として、お書き申し上げほどにはできているでしょうか、
このほかには、全く発句にできるような句はございません。
芭蕉、本紙ヤケ。