天田愚庵
Amada Guan

 天田愚庵 1
 天田愚庵 2
 天田愚庵 3 天田愚庵 2
作家名
天田愚庵 あまだ ぐあん
作品名
五言排律
作品詳細
扁額 紙本水墨
本紙寸法208×45.8cm
全体寸法213×50cm
註釈

【原文】
百川帰一海 萬壑尽同流
借間天台月 清光以舊不
相逢不相語 欲別又忘情
心鏡向君照 清於秋月清
与君何所似 一片白雲間
終日無他事 山中侭往還

樗園栄游録舊製博主人粲 愚庵

【訓読】
百川は一海に帰し、万壑は同流に尽きる。
借間す、天台の月。清光は旧をもってせざるやいなや。
あい逢ふて、あい語らず、別れんとしてまた情を忘る。
心鏡は君に向かって照らし、清らかなること、秋の月よりも清し。
君とともなうは何のゆえんぞ。一片の白雲のあいだ。
終日、他事なく、山中まま往還す。
『樗園栄游録』舊製、博主人粲 愚庵

【語釈】
天台―中国の天台山だが、ここでは日本の比叡山をいうか。
心鏡―明らかな心。

【訳文】
すべての川は一つの海に流れ込み、すべての谷筋は一つの流れに集まる。
ちょっと聞く、天台山を照らす月よ。この清らかな光は昔のままなのかどうか。
めぐり逢って、しかし語ることはない。別れに望んで未練もない。
わたしの明らかな心は君を照らしており、その清らかなことは、秋の月よりも清い。
君と一緒にいるのは何故なのか。ひとひらの白雲が生滅する間だけだ。
一日中、何事もなく、ただ山中をいったりきたりするのだ。
『樗園栄游録』舊製、博主人粲 愚庵