西田幾多郎
Nishida Kitarou

 西田幾多郎 1
 西田幾多郎 2
 西田幾多郎 3 西田幾多郎 5
 西田幾多郎 6
 西田幾多郎 7
 西田幾多郎 8
 西田幾多郎 9

※『西田幾多郎遺墨集』について
さきごろ京都の一燈園・燈影舎から『西田幾多郎遺墨集』が刊行された。西田先生を敬慕する後進にとって、待望の刊行であったが、特に私にとっては限りないよろこびで あった。私は三十数年前、先生の遺墨の公刊を一念発起して、筑摩書房の吉田晁とともに、妙心寺境内の一庵に久松真一さんをおたずねして、この思いを述べ、御尽力を願っ たことがあった。然し私たちの方に用意の不足もあり、機、熟さず、実現にいたらなかった。仮に若しあの時、ことがはこんだとしても、当時はまだ物資のままならぬ時代で もあり、写真また複製の技術もいたらぬ時でもあって、到底今日の遺墨集のような立派なものを出すことはできなかったであろう。そういう記憶もあたらしくよみがって、右の遺墨集の大成に欣喜するとともに、編輯に当られた方々、及び燈影舎の周到な用意と尽力に感謝の念を禁じ得ない。(唐木順三)

  『西田幾多郎の書』(唐木順三、下村寅太郎他著 / 一燈園・燈影舎)より

作家名
西田幾多郎にしだ きたろう
作品名
詩書
作品詳細
掛け軸 紙本水墨 緞子裂 合箱 『西田幾多郎遺墨集』(一燈園燈影舎)所載
本紙寸法34x142
全体寸法(胴幅)47.8x201cm
註釈

《到頭霜夜月 任運落前溪》(『碧巌録』第三十四則)

到頭(とうとう)霜夜(そうや)の月、任運(にんぬん)として前渓に落つ

(解釈)
「頭上に見た寒夜の月が、何時か谷間に落ち隱れた」
渓に落ちる月に、はからいを捨てて、あるがままに身を処する無心の境地を投影させたもの。