【原文】
寒成候間、弥以
蟄居候。
雖為指儀、余
久絶音問候間、
彼是此中者、
上洛之沙汰無之候、
何成と々々々迷惑候。
其段可被成、御
推量候。従閑吟□
所、文来進入候由
承候。乍次如此候。
必々不及御越候。
恐々不備
九月十六日 江月(花押)
啓迪院
無為
【訓読】
寒く成り候ふ間、弥よ以て蟄居候ふ。
指したる儀なきと雖も、
余り久しく音問絶え候ふ間、
彼れ是れ此の中は、
上洛の沙汰これ無く候ふ、
何れ成りと々々々迷惑に候ふ。
其の段、御推量成らるべく候ふ。
閑吟□所より、文来り進じ入れ候ふ由、承り候ふ。乍次如此候。
必ず々ず御越しに及ばず候ふ。
恐々不備
九月十六日 江月(花押)
啓迪院
無為
【訳文】
寒くなりまして、いよいよ蟄居しております。
これといった用事はございませんが、あまりにも御無沙汰しておりました。
あれこれと、最近は、上洛の御命令もございませんで、それにしても迷惑でございます。
このあたりのことはどうぞ御推量くださいませ
閑吟□所から、手紙がまいりましてこと、承りました。
ついでながら申し上げておきます。繰り返しますが、御越しには及びません。
恐々不備
九月十六日 江月(花押)
啓迪院
無為
※啓迪員は曲直瀬道三の造った学問所。
まずまず美品