高橋杏村
享和4年(1804)~慶応4年(1868)
美濃国安八郡神戸村(岐阜県神戸町)に生まれる。名、九鴻。字、景羽。通称、惣右衛門。別号に爪雪、鉄鼎、塵遠草堂。画を中林竹洞、詩を梁川星巌に学ぶ。私塾「鉄鼎学舎」を開き多くの門人を持つ。江戸後期美濃を代表する南画家。
田能村直入
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貫名海屋
【原文】
栽蕉非正直陰稠
日看青箋巻且抽
不待主人烟墨瀋
蝸涎早已試銀鈎
菘翁題
【訓読】
蕉を栽えるは正しからず、直に陰稠たり。
日看、青箋の巻きかつ抽く
主人の烟墨の瀋を待たず。
蝸涎のはや已に銀鈎を試す。
菘翁題す
【訳文】
芭蕉を植えるのはよくなかった。すぐに陰が出きてしまったよ。
日がな見ていると、青い手紙が巻いたり引いたりしている。
あれっ、御主人が風流に筆をふるうのを待たず、
早くもすでに蝸のやつがはい回って揮毫を試みているよ。
菘翁が題した。
田能村直入
【原文】
風烟雨雪月
所遇都相宜
此君真面目
唯有此君知
直入山樵
写併題
【訓読】
風と烟と雨と雪と月、
遇うところ都て相い宜し
此の君の真面目
ただ此の君の知るあり。
直入山樵写す併びに題す。
【訳文】
風と烟と雨と雪と月、
取り合わせるものがすべてしっくりとする。
この君(竹の異名)の真実の姿は、
この君(竹を植えた主人)だけが知っているのさ。
直入山樵が描き合わせて題した。
本紙に若干小シミがあります。