細川護立
Hosokawa Moritatsu

 細川護立 1
 細川護立 2
 細川護立 3 細川護立 4
作家名
細川護立ほそかわ もりたつ
作品名
書状
作品詳細
掛け軸 紙本水墨 緞子裂 合箱
本紙寸法66 ×18.6
全体寸法(胴幅)69.1×104㎝
註釈

【原文】
誠拙事酔竹に少々
妄念動かれ候間、已に
沢庵・一糸に執着を断たれし
狸庵居士の手前、今更
此君との別れに繾綣の情
ある可からずと存じ、折を得て
移し植ゆ可き心組に有之候。
尊書状、貴居甚だ東海寺
に近き由、未だ進んで寺内に
移らざる処に、猶人間の
ほとぼり相見え、一面我党
と一致する点あるを知つて
大に人意を強くする次第に候。
筧水竹影の外、何等の
奇なしと貴書御趣、果して
出らば主人公に何等の
奇なきか何れ小春の
候を期し候也。実地拝見。
早々に。
九月二十五 晴川
狸庵大人 坐下
(封筒差出人)
小石川高田
細川護立
九月二十五

【訳文】
まことに私こと、酔竹(某女の譬えか)に少々妄念を動かされまして、
すでに沢庵禅師や一糸文守禅師によって執着を断っておられます
狸庵居士の手前、今更、此君(竹の雅名)との別れに思いを残すことが
あってはならないと存じまして、おりを得て移植するつもりでございます。
お手紙によりますと、お住まいはとても(品川の)東海寺に近い由、
それでもまだ進んで寺内に御移りにならないところに、人間のなごりが見え、
一面、我の考えと一致する点がありまして、大いに意を強くした次第です。
筧の水、竹の影の外は、何の珍しいものもないとのお言葉、果して
本当に御主人に何の珍しいところもないかどうか、
いずれ小春の頃に実見してみましょう。早々に御返事まで。
九月二十五 晴川
狸庵大人 坐下