尊円法親王
永仁6年(1298)~延文元年(1356)
動乱の南北朝時代にあって王朝の雅を守り抜いた書の巨匠。
青蓮院第十七世門跡。伏見天皇の第6皇子。母は三善俊衡の娘。初名は守彦親王。幼くして青蓮院門跡となる。後京極派の流れを汲むその書は、のちに「尊円流」と称され、和様書道の典範として後世に大きな影響を与えた。
【原文】
なにはつにさくやこのはなふゆこもり
いまははるへとさくやこのはな
右詩歌、祖大乗院贈一品大王真翰也。
尤可謂奇珍、秘箱底、不可出門外辺。
渭水老叟(花押)記之
【釈文】
難波津に咲くやこの花冬籠り
今は春べと咲くやこの花
右の詩と歌は、祖大乗院贈一品大王の真翰なり。
尤も奇珍と謂うべし、箱底に秘し、門外の辺に出づべからず。
渭水老叟(花押)之を記す
【訳文】
この難波の港に今を盛りと咲く花よ
長い間冬籠りをしていたが
今は春になったと咲き開いた花々よ
右の漢詩と和歌は、祖大乗院贈一品大王(尊円親王)の真筆である。
もっとも珍宝というべきである。箱の底に秘して、門外に出してはいけない。
渭水老叟(花押、青蓮院尊応か)之を記す。
(箱書)
詩歌分而為二幅、詩之方、戸田正淵所持之
「詩歌を分かちて二幅とす、詩の方は、戸田正淵、之を所持す」
本紙、浮き皺多数あり。