【原文】
奉勅単航向北京
黒煙堆裏蹴波行
和成忽下通州水
閑臥篷窓夢自平
【訓読】
勅を奉じて単航北京に向むかう
黒煙堆裏(たいり)波を蹴って行く
和成って忽(たちまち)下る通州の水
閑に篷窓(ほうそう)に臥(が)して夢自ずから平なり
【訳文】
勅を奉じて(講和締結の詔勅)、単身北京へと向かった。
(蒸気船の)黒煙たて波間を進んで行く。
和(講話)が成り、船に乗って通州の川をくだれば、
身を船窓に横たえて夢もおのずと安らかである。
【解説】
明治7年(1974)8月、大久保は台湾出兵後の和平交渉のため、全権弁理大臣として清国の首都北京へ向かう。当初、交渉は難航するが、駐清イギリス公使の調停もあり、10月末、ようやく「日清両国互換条款」が調印された。
裂、若干ヨゴレ。