D-311 頼山陽
Rai Sanyou

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作家名
D-311 頼山陽 らい さんよう
作品名
五言古詩(贈長古堂主人)
価格
250,000円(税込)
作品詳細
掛け軸 絹本水墨 緞子裂 象牙軸 頼潔箱
本紙寸法43.6×115.5
全体寸法56.8(胴幅)×198㎝
作家略歴

頼山陽
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頼潔
頼支峰の第一子、山陽の孫。漢学者。

コンディション他

【原文】
君家醸萬石不救今日渇豈無京酒賖甜濁欠香辣向我乞一瓶拝
手語茁軋吾酒本君贈清勁如劍抜它人不分勺敢不補君闕呼
妻取於罍瑰溢金波凸到家猶兩宿留貯戒擔卒神龍未及
水尺寸不自達涓滴乞小魚々本固龍活当望歸汝湫沛雨
荅濡沫

長松堂主人来遊於京旅次無酒請余所貯々即其所貽天下事々顛倒
未有如此之甚也戯心此紀實以慶一咲時丁亥孟夏也
三十六峰外史頼襄( 印)

山陽遺稿・詩5(巻之1-4)所収 »

【読み下し文】
君(きみ)が家、万石を醸(かも)すも今日の渇(かつ)を救はず、豈京(あにきよう)に酒賖(しゆしや)無(な)からんや。甜濁(てんだく)に香辣(こうらつ)を欠くも、我に向ひ一瓶(いちびん)を乞(こ)ふに、手を拝し語茁軋(ごさつあつ)なれば、吾が酒本より君に贈る。清勁(せいけい)剣を抜くが如くなれば、它(た)の人勺(く)分せず、敢て君が闕(けつ)を補(おぎな)はざらんや。妻(さい)を呼び罍(さかだる)に取れば、軿(くるま)に溢れ、金波(きんぱ)凸(とつ)たり。家に到りても猶(な)ほ両宿し貯を留め擔卒(たんそつ)を戒む。神龍未(いまだ)水に及ばず、尺寸自(みづか)ら達せず、涓滴(けんてき)を小魚に乞ふ。魚(ぎよ)本より固く龍を活し、当(まさ)に望みて汝を湫(いけ)に帰さんとし、沛雨(はいう)し濡沫(じゆまつ)に荅(あ)ふ。

長松堂主人、京に来遊す。旅次(りよじ)酒無く、余(よ)の貯(たくは)ふる所を請ふ。貯ふるもの即ち其れ貽(おく)る所なり。天下事々(ことごと)顛倒(てんとう)し未(いま)だ此(かく)の如きの甚(はなはだ)しきは有(あ)らざるなり。心に戯れ、此に実を紀し以て慶し一たび咲(わら)ふのみ。時に丁亥孟夏なり。

【現代語訳】
裕福なる君の家は、何万石もの酒を醸すことが出来るというのに、今日の喉の渇きを救うことが出来ないという。どうしてこの京とて酒をふるまうことが出来ないことがあろうか。清き酒(清酒)も濁り酒(どぶろく)もある。もっとも君が常日頃口にするあの強い香には欠けているが、さあ、私に向かい一瓶、ほしいと乞いたまえ。手で拝み、言葉厚く願い出たならば、この私の酒は言うまでもなく君の物だ。その澄んだ強い思いが、機に臨んで剣を抜く時の真剣さに満ちているなら、他の者が汲むことを許さず、君の喉の渇きを満たさぬことがあろうか。おかみ(酒屋の妻)を呼び、酒樽より取れば、車(軿は幌の付いた車)の中には金波は溢れて盛り上がる。家に到っても、なお飲むことを止めず、いつしか二宿(連泊)に及んだが、それでもなお酒車を留め、こぼすなよと酒樽担ぎの兵(担卒)を戒める有様。まさに「神龍未だ水に及ばず、寸尺自ら達せず(水の中でその力を発揮する神龍もまだ本来の力を発揮することができず、あとわずか自分の力では水まで達することができずにいる)」の喩え通り、この小魚に過ぎぬ私に向かい、跳ねって水滴をかけろと要求する(暗に、あと一滴の酒をくれと催促する)。この一滴をもたらす魚ならぬこの私こそが、龍を蘇らせ、まさに君を池に帰らせんと、大雨が龍を濡らすように、ほしいだけ酒を飲ませるのである。

長松堂の主人が京に来た。旅の途上で酒が無く、私に貯えを飲ましてくれと求める。貯えてあるものを、求めに応じ贈ったのである。天下の事々顛倒(世の中は何事も逆さま)とはこのことである。裕福なる君が貧なる私に酒を求めるなど、まことにまだこのような甚だしい例にはお目にかかったことがない。そこで心に戯れ、この事実を記録し、称え、まずは一笑とする。時に丁亥の年(文政十年・一八二七)孟夏(初夏)のことである。

三十六峰外史頼襄(印)

・酒賖(しゅしゃ)・・酒をおごること、ふるまうこと。
・茁軋(さつあつ)・・きしむように出ること。強く願いでる意。
・擔卒(たんそつ)・・荷を担った兵卒。
・涓滴(けんてき)・・しずく、またわずかなこと。
・湫(しゅう)・・小さい池、水たまり。
・沛雨(はいう)・・激しい雨。

僅かにヨゴレがありますが美品です。

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