柳宗悦
Yanagi Muneyoshi/Soestu

 柳宗悦 1
 柳宗悦 2
 柳宗悦 3
 柳宗悦 4
作家名
柳宗悦やなぎ そうえつ
作品名
沙門法蔵捨テ身ナル
作品詳細
掛け軸 紙本水墨 紙裂 合箱
本紙寸法34.1×33.7
全体寸法51(胴幅)×103p
註釈

『心偈』より 沙門法蔵捨テ身ナル

法蔵菩薩とは、阿弥陀如来となる前の名前である。物語は『大無量寿経』に詳(つまび)らかである。衆生済度の大願を発して、その願が充たされずば、「正覚(しょうがく)を取らじ」とまで誓った菩薩である。彼はそのねがいの成就のために、捨て身となって行を重ねた。寂静の如来鏡に達するのに、怒濤の如き菩薩行があった。人はこれを、ただ沙門宝蔵(しゃもんほうぞう)の物語として、見過ごしてはなるまい。彼沙門法蔵のどこが菩薩たるしるしなのか。衆生のために、身を捨てきったそのことにあろう。だが彼を人間を離れた者と仰いではなるまい。また仮空の人物などと受けとってはならない。彼は凡ての人々の彼なのである。彼の中に人間の原型があるのである。何人(なにびと)にも自分の名の中には法蔵という法名がひそんでいるはずである。このことを想うと、吾々の選ぶべき道もまた示されているではないか。

【追記】 掛け軸外題の「昭和卅一年新春 文・書・装」は、昭和31年の新春に文も、書も、表装も柳宗悦自らがしつらえたということ。「呈吉右ェ門兄」の「吉右ェ門」は、染織家岡村吉右衛門と思われる。