上杉鷹山
Uesugi Youzan

 上杉鷹山 4
上杉鷹山 1
 上杉鷹山 2
 上杉鷹山 3
作家名
上杉鷹山 うえすぎ ようざん
作品名
詩書
作品詳細
>扁額 紙本水墨 緞子裂 黄袋 段ボール差し箱入
本紙寸法80.6×30.5p
額寸法124×44p
註釈

【原文】
庚申元日
鶏鳴曙色報佳辰 玉帛三元引縉紳
周世諸侯邦建政 漢家朝禮列班春
年豊負郭農商憩 日暖御溝魚鳥親
正識聖恩無限楽 謳歌萬歳太平人

【訓読】
庚申の元日
鶏は曙色に鳴き、佳辰に報(むく)う。
玉帛(ぎょくはく)三元、縉紳を引く。
周世の諸侯、邦建の政。
漢家の朝禮、列班の春。
年、豊かに、負郭、農商憩う。
日、暖かに、御溝、魚鳥親しむ。
正に識る、聖恩の限まり無き楽しみを。
萬歳を謳歌す、太平の人。

【訳文】
庚申(寛政十二年 一八〇〇年)の元日の詩。
鶏は曙(あけぼの)の色を見て鳴き、今日の佳き日を人々に知らせる。
贈り物の玉と絹織物が正月元旦に身分のある人々を招く。
古代の周の世の諸侯は、邦建制度の政治を行った。
中国の元日の賀正の礼儀は、列国に春をもたらす。
今年は五穀豊穣になり、城下町の農民や商家は安らかに暮らすだろう。
毎日は暖かで、お城のお堀では魚鳥が生き生きと泳ぎ飛ぶ。
まさに知るのだ。天子の恩恵の無限の楽しさを。
天子の治世の悠久を謳歌するのは天下太平の人々である。

【語釈】
玉帛―玉と絹織物。諸侯が天子または他の諸侯に公式に会う時の贈り物。
三元―正月元日の称。
縉紳―官位の高い人。身分のある人。
邦建―天子が公領以外の土地を諸侯に分け与え、領有統治させること。
負郭―城郭を背にした土地。城下町に近い土地。
御溝―宮城のほり。御苑のみぞ。

【鑑賞】
鷹山は、儒教で聖代とされる古代中国周代の「籍田の礼」を行った。これは君主が自ら田畑を耕すことで領土領民に農業振興を教え諭し、収穫を祖先に捧げて加護を祈る儀礼とされる。四反の籍田で収穫された米は、謙信公御堂と白子神社、城内春日神社に奉納され、残りは下級武士に配給されたといい、以後、歴代藩主に受け継がれる儀礼となった。このことから、鷹山はその治世にあたって、古代中国の周代を理想として、そのを実践を試みていたことが判明する。作品詩文は、周代の賀礼に言及し、そうした鷹山の思想の傾向とよく符合する。