樋口一葉
明治5年(1872)~明治29年(1896)
東京府内幸町(現在の千代田区内幸町付近)に生まれる。本名、奈津。(書など自署は 、夏あるいは夏子)中島歌子の歌塾萩で桂園派の和歌を学ぶ。明治22年(1889)、17歳で 父を亡くし、貧苦のなかで小説家として身を立てることを決意。妹邦子に支えられなが ら、文筆活動を続け、明治27年(1894)、『大つごもり』、翌28年、『たけくらべ』『 十三夜』などを発表し、森鴎外などから絶賛されるが、結核のため24才で死去する。
松下秀麿
中央公論編集長。著書に『大雅の書』、『去年の人 回想の作家たち』など。
《松有喜色 しけりあふまつの色にもミゆるかな千とせのこもるそのふ成とは 夏子》
喜色…うれしそうな顔つき。よろこんでいるようす。
茂り合う…草や葉が重なって茂る。
園生(そのふ)…植物を植えて栽培する庭園。
『樋口一葉全集第4巻(上・下)』より以下所収
色紙・歌稿―14、點取秀歌1-53、詠草24-102、短冊・栞補遺-2、短冊色紙類補遺-31
本紙に僅かに傷み。