河上肇
Kawakami Hajime

 河上肇 1
 河上肇 2 河上肇 3
 河上肇 4
作家名
河上肇 かわかみ はじめ
作品名
岩田博蔵宛書簡(未発表)
作品詳細
註釈

拝啓 御恵投之極友会
雑誌難有拝読いたし
ました。愈々御志を
遂げられ悠々御自適
の御様子、大慶ニ存
じ上げます。雑誌巻
頭の御写真つくゝゝと
拝見いたしました。
拙著「社会問題研究」
最近号一冊配送いたし
ます。大兄にハ興味の
ないものですが近況を
お知らせする代りにお送
りいたします。此節は少し
お暇もあろうかと存じます
ので。
私も今歳五十になり
ました。唯一人の男の子を
一昨秋なくし、昨春はまた
父とわかれました。 早折
の詩(?)
去秋亡愛子。今春
別慈父。傷心半似
安。洛陽一書痴
之より私自身が死ぬる
順序ですが最近に社
会に対する最後の奉
公をいたしたいと考へつゝ
あります。 匆々不一
河上肇
一二月 十四日
岩田仁兄 侍史

(封筒切手 昭和3年1月4日の消印)