東郷平八郎
Tougou Heihachirou

 東郷平八郎 1
 東郷平八郎 2
 東郷平八郎 3
作家名
東郷平八郎とうごう へいはちろう
作品名
詩書
作品詳細
掛け軸 紙本水墨 緞子裂 合箱
  本紙寸法60.2×128.5
全体寸法(胴幅)75.7×198㎝
註釈

【原文】
法依国而昌
国依法而貴
  大正壬戌春平八郎書

  

【読み下し文】
法は国によりて昌(さか)んになり、
国は法によりて貴くなる。
  大正壬戌の春、平八郎書す。

【現代語訳】
法律はそれを作る国家によってますます盛んになるのであり、
国家はそれが持つ法律によってますます尊い国となるのである。

  大正11年壬戌(1922)、平八郎書く。

【書付】
日蓮上人立正安国論之語東郷元帥筆也予元帥英国皇子ヲ送リ鹿児島ニ在ルノ日其旅館薩 摩屋別館ニ訪ヒ沖縄今帰仁源為朝公上陸地記念碑ノ揮毫ヲ請フ元帥快諾帰京ノ後東京東 郷坂上自邸ニ於テ書之同時該書ヲ認メテ予ニ贈ラル予元帥ニ薩摩屋別館ニテ面会セレハ 実ニ大正十一五月九日午後十一時也島倉龍治誌

【書付訳文】
日蓮聖人の遺文「立正安国論」の言葉を東郷元帥が揮毫したものである。東郷元帥が英 国皇子を見送るために鹿児島に在るとき、私(島倉龍治)がその宿舎薩摩屋別館を訪ね 、沖縄今帰仁源為朝公上陸地記念碑の揮毫を元帥に依頼したところ元帥の快諾を得た。 その後、東京の東郷坂坂上の東郷邸において源為朝公記念碑の書と一緒にこの書(法依 国而昌 国依法而貴)を元帥から贈られた。薩摩屋別館で元帥に面会したのは、実に大 正11年5月9日午後11時であった。島倉龍治(これを)誌す

島倉龍治(1870-1929)
佐渡郡真野町新町で生まれる。明治26年、東京法学院(中央大学の前身)卒業。明治33 年、判検事試験に合格。司法官試補として若松、徳島などの裁判所勤務。明治38年、司 法省嘱託となってアメリカの訴訟、執行、監獄の制度を視察するため渡米。

※島倉龍治は、「沖縄史蹟保存會」の発起人の一人で、沖縄今帰仁源為朝公碑は、「沖 縄史蹟保存會」によって建立された。この東郷平八郎詩書は、島倉龍治が東郷元帥に碑 の揮毫を依頼した縁で東郷より直接贈られたもの。
東郷元帥は、島倉龍治が検事であることからこの詩を揮毫したのであろう。