西郷隆盛(南洲)
Saigo Takamori

 西郷隆盛(南洲 1
 西郷隆盛(南洲 2 西郷隆盛(南洲 3 西郷隆盛(南洲 4
 西郷隆盛(南洲 5
 西郷隆盛(南洲 6
作家名
西郷隆盛(南洲) さいごうたかもり(なんしゅう)
作品名
土持平八宛書状
作品詳細
額装 紙本水墨 本金縁 西郷南洲顕彰会鑑定書 西郷南洲書簡集所収
本紙寸法94.6 ×18.3
額寸法117.5×24.6㎝
註釈

【翻刻文】 其後ハ不奉得貴意候処
彌以御安康之由珍重
奉存候。随而少弟ニも去ル二日
御国元出立ニ而又々爰許江
着いたし罷在申候間、乍憚
御放慮可被下候。陳バ吉井
幸輔上京掛對州人江
面會、無拠訳合ニ而相談有之
小蝶丸拝借之義承届
兵庫表?早々馬関江相廻
約定相成居候由、對藩之
人承候付、乗頭に一封差
置候得共、若間遠相成候而ハ
大キニ信義を背候訳ニ相當り
對藩江對し不相済事柄と
奉存候付、若相見得候はば、其辺
之處能々御下知可被成下候。
乗頭方江ハ只訳抔不申遣
滞舩いたし、届可申出様
認置候付、何分ニも貴兄より
宜敷御差引御頼申上候。
此旨任幸便態々荒々
奉得貴意候。頓首
西郷吉之助
二月十日
土持平八様

【現代語訳】
その後はご無沙汰しておりましたが、ますますお元気でお暮しの由、嬉しく存じ上げます。私の方も去る二日に国元を出立し、またここ福岡に到着していますので、余計な事ではありますがご安心下さい。
さて、吉井幸輔が上京の途次、対馬の人物と面会し、やむを得ない事情で相談を持ち、小蝶丸を拝借し対馬藩へ貸し出すことを承引しました。兵庫から下関へ舟を回す契約が調った由、対馬藩もそう心得ておりますので、私の方から船長に一書を届けてはおりますが、もし遅れたりしたならば大いに信義に背く事にもなり、対馬藩に対しても申訳の無い事になりますので、もし吉井にお会いになる事があるようでしたら、その辺の事をよくよく御命じ下さい。
船長の方へは理由も私からは申さず、ただ滞船してその届けを申し出るように手紙を届けておりますので、何分にも貴兄の方からその辺の事を御勘案下さるようお願い申し上げます。
都合よく国元への飛脚がありましたので、ご理解を得たく一書を差し上げます。
頓首

西郷吉之助

二月十日
土持平八様